私たちについて
JCOMHS代表理事伊勢田 堯
欧州地域精神保健サービス提供者(The European Community-based Mental Health Service Providers: EUCOMS)ネットワークは、地域における質の高い精神保健サービスを提供し、それを各国の政策に反映させることを目的に2015年に設立されました。
私がEUCOMSを知ったのは、2018年2月、ベルギーにおける精神保健改革を視察するための準備を進めている最中でした。当時、ベルギー・フランドル精神医学会の元理事長であるギド・ピーターズ教授から、自身が筆頭著者である2017年12月20日に発表されたばかりのEUCOMSのコンセンサス・ペーパー(合意文書)が送られてきました。この文書のタイトルは、「地域におけるすべての人のリカバリー:互いから学び合う~地域を基盤とする精神保健ケアの基本原則の鍵となる構成要素に関するコンセンサス・ペーパー」です。一読しただけで、その内容の素晴らしさに感銘を受けたことを今でも覚えています。
その後、ピーターズ教授のご尽力により、EUCOMS会長のレネ・ケー氏をご紹介いただき、ペーパーの翻訳許可をいただきました。仲間の協力もあって、日本語訳を完成させることができ、EUCOMS側の審査も無事通過し、英語版公開から半年後には、日本語版がEUCOMS公式ホームページに二番目の翻訳版として掲載されました。
EUCOMSとの交流が深まる中で、2022年4月には、私どもが長年取り組んできた生活臨床と、オランダの当事者主体の取り組みであるリソースグループが共演する形で、EUCOMS主催のウェビナーを開催することができました。このウェビナーを通じ、日本と欧州が地域におけるリカバリー支援について互いに学び合い、支え合う実践的な交流が実現しました。この模様は現在、EUCOMSネットワークの公式YouTubeチャンネルで視聴可能です(https://youtu.be/1nmRr2Bg9To)。
EUCOMSネットワークには現在、ヨーロッパをはじめとする約20カ国の組織が参加しています。これまでの日本国内における精神保健改革の取り組みを振り返る中で、EUCOMSと連携しながら国内外の仲間たちと学び合い、支え合う草の根運動を展開する必要があるという認識が、私たちの間で共有されました。
そして、地域に根差した質の高い精神保健サービスの発展を目指す団体として、一般社団法人 地域精神保健サービス提供者日本ネットワーク(The Japan Community Mental Health Service Providers Network: JCOMHS)を設立する運びとなりました。
今後はEUCOMSネットワークのパートナーとして連携を図り、国内外の優れた活動や経験の交流を通じて互いに学び合いながら、日本における地域支援活動の発展を目指すとともに、世界の精神保健サービスの向上にも貢献して参りたいと考えています。
皆さまのご支援、ご協力、そして積極的なご参加を心よりお待ちしております。